
曇り後雨
先日BSで1980年公開の映画「遥かなる山の呼び声」がやっていて、
前々から気になっていただけに、ようやく観ることが出来た。
~あらすじ~
中標津で小さな牧場を経営している風見民子(倍賞千恵子)は、
一人息子の武志(吉岡秀隆)との二人暮らし。
そこに、フラッとやってきていつくことになった田島耕作(高倉健)は、
牧場作業を手伝い、徐々に家族の一員となっていく。
しかし、耕作は人を殺して逃亡中の身だった・・・。
この映画は山田洋次監督作品で、
「幸せの黄色いハンカチ」の姉妹作かのような作品。
舞台となる中標津は、私が9年間住んだ町であり、
そしてサラリーマンをやりながら離農跡地を取得し、
ログハウスや厩舎を建て、馬を飼い始めた思い出の町。
昔の酪農作業風景は、私自身が酪農家となった今、非常に興味深く、
うちでも動かしているコンパクトベーラーが稼動していた。
そして私も事務局として奔走していた中標津草競馬が懐かしく、
高倉健が馬に乗って優勝するシーンも良かった。
最初は警戒していた倍賞千恵子は、
高倉健に徐々に心を許すようになるものの、
高倉健は警察の捜査の手がすぐ傍まで迫っている事に気付き、
倍賞千恵子のもとから去る事を決意する。
それを告白された夜、大事な牛が生死をさまよう事故があり、
大事な人、大事な牛を同時に失うかもしれないという事で、
倍賞千恵子はパニックに陥る。
そして高倉健に「行かないで、寂しい」と訴え、泣き崩れる。
牛が手術を乗り越えて立ち直った朝、高倉健は警察に連行され、
懲役2年以上4年以下の判決を受ける。
最後、列車で高倉健が護送されているところに、
倍賞千恵子と、高倉健に決闘で負けて舎弟となったハナ肇が乗ってきて、
高倉健の傍の席に座ってわざとらしい会話をする。
その会話はもちろん高倉健に聞かせるためのもので、
倍賞千恵子は酪農を辞め、ハナ肇に助けてもらいながら、
中標津の町で何年かかるか分からない旦那の帰りを待っていると。
旦那とはもちろん高倉健の事で、
高倉健と賠償千恵子は無言で見つめあい、
そして倍賞千恵子は高倉健に黄色いハンカチを手渡す。
作品の最初から最後まで、倍賞千恵子の演技は素晴らしく、
頑なに牧場を守る未亡人が徐々に心を許していく様、
そしてこの最後のシーンでの、
別れの辛さと、いつまでも待っているという強い決意を滲ませる、
その表現力はさすがだと思った。
今更ながら、本当に良い作品に巡り会えたなぁ。
おすすめです。