晴れ時々曇り
今日は良い天気で気温もグングン上昇、20℃を越え、
馬関係で忙しい一日だった。

いままでトラクターしか出入りできなかった
馬小屋、
出入り口のシャッターを強引に押し上げ、
タイヤショベルも出入りできるようにしてみた。
ついでにスコップで
馬糞を通路中央に寄せ、
馬糞をかき出しておく。
そうこうしている内に、予定より1時間も早く、
役場の担当の方、
十勝家畜保健衛生所と
十勝NOSAIの獣医師の方々がやってきた。
やっていた作業を切り上げ、慌てて
馬を繋留し直し、
ポーレは種畜検査にかかる衛生検査の採血を、
そしてレザンは
馬伝染性貧血検査の採血をされる。
獣医師の方の手際も良く、馬達も全く動じる事無く採血は終了。
馬は人を見るので、
場合によって馬が身構えてバタバタする事があるんだけど、
そんな事もなく終わって良かった。
それはそうと奥尻でもそうだったんだけど、
予定時間をあまりに大幅に繰り上げられると、
準備が出来ていない事があって少々慌てる。
獣医師に見せる場合でも、お客さんが来る場合でも、
馬小屋を綺麗にし、馬の手入れもいつもより念入りにするのが、
一応のマナーかなと考えているので。
ただ今日はそんな事もあろうかと、
朝の馬の世話の際に必要書類を準備して馬小屋に置いておき、
馬の手入れや馬小屋掃除も2時間前にはやっておいたので良かった。

かなり早く採血が終わったので、
ついでにレザンを外に連れ出し、青草をしばし食べさせてやる。
環境整備を兼ねて雑草を食べてもらえるので一石二鳥。
杭を打ってロープを張り、
そのロープにリングを通した上でそのリングに馬を繋いで、
ロープの距離だけ自由に馬が移動できるようにすれば、
ずっと見守らなくても良くなる。
そして雑草が無くなればまた別の場所に杭を打ちなおして、
遊牧民のように馬を雑草生い茂るところへ移動させていけば、
自然と雑草が減り、馬糞という堆肥を落としてもらえるわけで。
レザンはユウ君がかつてしてくれていた環境整備隊長を担って欲しい。



さらについでにレザンの前肢の削蹄をしておいた。
センカンで大きくツメを切り、鉄ヤスリで滑らかに形を整える。
我が家は蹄鉄を打つことも無いし、
こうして年に数回削蹄をするだけで蹄は良好な状態に保たれる。
蹄鉄は本来不要なもの。
蹄鉄が不要な環境で馬を飼えば良いだけの事だと思っている。

午後から「乗馬ライフ」という雑誌の、
「馬に魅せられた人」という特集で取材を受けた。
取材してくださった方は前々から私のブログを見て下さっている方で、
そういう意味で安心感があるし、有り難い事だと思っている。
馬は群れを成す草食動物という当たり前の事を理解していない人が多く、
乗馬クラブで厩舎の中で飼う事が良いと思っている人もいる。
一般的な乗馬クラブだと、
馬は独房に閉じ込められ、人に利用(騎乗)される時だけ外に出され、
終わったらまた独房に戻される。
人で言えば囚人のような生活を馬に強いているわけで、
自分がもしその馬の立場だったらと考えれば疑問を抱くはずなのに、
馬主さんも、クラブの会員さんも、
馬の価値観を考慮しようとはあまりしない。
あくまで人の価値観を押し付けて、馬本来の生態も無視し、
草はそこそこに濃厚飼料を多く与えて間接的に病気を誘発させ、
人が寒いからと必要も無いのに馬着を着せたり、
横になって眠ると汚れるからと眠らせないようにしてみたり、
それが馬が幸せだと、馬を愛していると、勘違いしている事もある。
私は馬に限らず、外敵の危険性が無い野生状態こそ理想であって、
経済動物として飼うなら話は別だけれども、そうではないのなら、
それに近づけていく努力をする事が飼い主の責務だとも思っている。
最低限、自由に遊べるくらいのスペースを常に与え、
草食動物なら草主体の飼料設計をするのは当たり前だろうと。
動物を飼う以上、その動物の生態を理解し、勉強すべきであって、
それをしようとしないで飼うから変な事になるわけで。
まあこれは馬に限った事ではないんだけど・・・。
これだけインターネットが普及した今、
調べようと、勉強しようと思えばいくらでも情報は手に入るんだけど、
自分からそういう事をしようとはあまりせず、
誰かから与えられる情報を自分なりに咀嚼しないまま受け入れてしまい、
間違った常識をもまかり通るようになってしまっているのかな。
そしていつもよく疑問に思うのは、
馬術という言葉が馬に騎乗する技術のみを指して使われるけど、
私は馬を飼う技術、馬と信頼関係を結ぶ技術、
あらゆる馬にかかる技術すべてが馬術だと思っている。
だから馬術家を名乗るなら、
馬を自ら飼い、生産・育成・調教をし、
馬術大会にも自家生産馬で出場する位の事はして欲しいなぁ。
素晴らしい血統で、よく調教された馬を買ってきて、
普段は乗馬クラブに預託して大会に出るだけなら誰だって出来るし、
それなりの結果を残せて当たり前だと思う。
馬に乗れても馬を飼えないなんて変。
馬が本当に好きなら自分で飼おうと思うだろうし、
自分の今の生活を変えてまで、田舎に移住してまで飼えないなら、
そこまでは馬は好きじゃないのでは?と私なら思う。
都合の良いところだけ馬を利用し、
生活の一部にする気まではないという人が圧倒的多数という現実からは、
日本では馬は伴侶動物としての位置付けにはなってなんだろうなと。
本気で馬を飼いたいと思い、行動するのであれば、
それはこの日本においてもそれほど非現実なものではないし、
金持ちでなくても、特殊な技能がなくても、やれば出来るわけで。
まあ取材ではこういった馬の事だけじゃなく、
田舎暮らしの事、あるいは
農業の事など、
多岐にわたって何時間も話し合い、
ある意味で取材である事を忘れていた(苦笑)。
取材とはいえ、楽しいものだったなぁ・・・。