朝5時に起床。
昨日、北追岬まで行けなかったので、予定を全面的に見直した。
当初、1泊目が北追岬、2泊目が藻内海岸、3泊目が東風泊と考えていたけど、
1泊目の幌内海岸、2泊目は藻内海岸、3泊目は戻ってきて北追岬とし、
東海岸には一切泊まらない予定に変更した。
朝食はパンを1枚焼いて、マヨネーズと蜂蜜を付けて食べただけで撤収、
6:30には再びバックパックを背負って、幌内から南へ5km、神威脇へと歩き始めた。
神威脇には温泉があり、420円の入浴料で入れる町営の神威脇温泉施設保養所、
さらにその建物の裏手には小さな小屋があり、ここは無料の混浴温泉風呂になっている。
奥尻島は島の東に位置する奥尻からバスが2系統出ていて、
北路線は島の最北端にある賽の河原を経由して稲穂まで、
南路線は島の最南端にある青苗を経由して西側の中部にある神威脇までそれぞれ往復し、
島を一周ぐるっと周る路線は存在していない。
この南路線の終点である神威脇から8:05発の上り線のバスに乗って、
今晩の野営地である藻内海岸を目指した。
他にバスに乗る人もおらず、バスの運転手と雑談しながら南下。
藻内海岸で野営する事を伝えると、川が流れ、仮設トイレのあるポイントで降ろしてくれた。
そう、奥尻島のバスはフリー乗降バスなので、バス停のないところで乗り降りできるのは嬉しい。
バスを降りたのが8:15、野営に適したところにテントを設営、荷物の一部をテントに入れ、
軽くなったバックパックを背負って再び南へと歩き始めたのは9時頃だった。
8km先にある最南端の青苗地区を目指して歩いていると、すぐそこに見える海の美しい事といったら。
途中から海岸を離れ、内陸へと少し上っていくと今度は水田や褐毛和種(和牛)の牧場があった。

北海道の離島では唯一米の栽培があり、島では米を自給できるのだそうな。
漁業だけが産業ではない、農業も盛んな島のもう一つの側面を見れた気がした。
やがて奥尻空港が右手に見え、海老原建設の自販機に到達。
自販機で買ったアクエリアスが冷たくてものすごく美味しかった。
昨日に引き続いて今日も晴れていて、気温も30℃前後もあり、常に汗だくなのだ。
ちなみに奥尻空港は一日一便、函館と30分で結ばれている。
さらにしばらく歩くと、ようやく青苗に到着。
今回、履き慣れていないトレッキングシューズを履いてきたのが大失敗で、
足の指全てと、皺にそれぞれ水脹れが出来て、まともに歩けないくらい痛くなっていた。
それでもゆっくりと、足を引きずるように歩を進め、青苗の市街中心部へと向かう。
奥尻に来る前に、インターネットで奥尻へキャンプしに行った方のサイトを見つけ、
青苗にある食堂「潮騒」のうに丼定食がおすすめだと書いてあったので、そこへ向かうつもりだった。
時間は11時ちょっと前、地元のおばあちゃんに食堂への道を尋ね、無事到着。
注文したうに丼定食は2,000円もするけど、たっぷりのうに丼だけじゃなく、
イカの刺身、イカの塩辛、焼き魚、ひじき、しじみの味噌汁がついていて、大満足だった。
食堂「潮騒」を後にして、市街を南へ1kmほど歩くと青苗岬に辿り着く。
ここには、北海道南西沖地震で亡くなった方の慰霊碑でもある時空翔と、津波館がある。
津波館はバスの時間の関係からあまりゆっくりとは観れなかったけど、
それでもその当時の悲惨な様子は目を覆いたくなるようなものばかりだった。
1993年7月12日22:17、奥尻島に近い震源地でマグニチュード7.8の地震が発生、
奥尻島を中心に津波や火災で大きな被害を出し、死者201名、行方不明者29名に及んだそうだ。
津波は藻内で高さ29mを記録し、この青苗でも10mを越える津波に襲われた。
被害のほとんどは奥尻島であり、最南端で三方を海に囲まれた青苗地区の被害が特に大きかったらしい。
青苗だけで、地区の人口1,401名、世帯数504に対し、
死者・行方不明者109名、負傷者129名、家屋全壊400戸という被害を出した。
14人に1人が亡くなった計算であり、人口が100万人の都市だったら7万人が亡くなっていたのである。
それくらいこの地震と津波は巨大だったのだ。
今はこうして完全に復興してはいるけど、避難路や山へ登る避難階段が島のあらゆるところにある事からも、
今後の地震や津波に対する対策が取られていることが分かる。
自然災害はいつ起こるか分からないし、もしもの時の事を考えておく事は大事だろう。
今日の野営地の藻内海岸は水が乏しいため、津波館の前の水場でウォーターパックに6リットルの水を満たし、
13:03に青苗記念碑前から南部下り線のバスに乗り、藻内へ戻ってきた。
午後はのんびりと海水浴をし、ほとんど人のいない広い浜を独占して泳いでいた。
ギラギラと輝く太陽の下、美しい海で泳ぐのは最高に楽しいものだ。
ただ、ちょっと波が高く、浜に上がってくる際にシュノーケルをさらわれてしまったのは失敗だった。
歩いたり泳いだりとするうちに、かなり日焼けしてきてヒリヒリするようになってきた。

昨日に引き続き、美しい日没を拝め、夕食は春雨を食べた。
誰もいない浜で、無縁島を臨むここからの景色もまた絶景で、素晴らしいロケーション。
体力的には今日は余裕があったので、満天の星空もしばし眺めることが出来た。
流れ星を見て、テントに入ってぐっすり就寝~。
~今日の歩いた距離:14km~